海士町の伝統の味
こじょうゆ味噌は、海士町の家庭で代々作り継がれてきた伝統的な調味料です。
いつから作られ始めたのか定かではありませんが、およそ800年前、海士町にご配流になられた後鳥羽上皇も愛食したと言われています。それほど古くから伝わる食材です。
こじょうゆ味噌には、島ならではの誕生背景が存在します。
かつて、島には醤油蔵がなく、離島で外からの輸送も難しかったために、醤油が手に入らなかったと言われています。そうした立地条件のなかで、島の人々は味噌を醤油寄りにしたものを、醤油の代わりに使っていたとされ、それがこじょうゆ味噌の起源と考えられています。
その後、明治時代に入ると、島でも醤油が手に入るようになります。それでもこじょうゆ味噌は無くなることなく作られ続けていて、現在も島民のあいだで親しまれています。
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夏野菜と魚介を炒め、こじょうゆ味噌で味付けした料理。
こじょうゆ味噌は、島では家庭料理によく使われてきました。
特に、こじょうゆ味噌を仕込む夏の時期には、夏に採れるナスやピーマン、サザエなどと合わせて食べるのが定番なのだといいます。地域の方に聞いてみると「こじょうゆ味噌を食べないと夏が終わらない」のだとか。そのくらい慣れ親しんだ味であることが伺えます。
味わいと製法のユニークさ
こじょうゆ味噌を語る上では、その味わいと製法のユニークさも見逃せません。
こじょうゆ味噌は、味噌と醤油の中間のような、独特な味わいです。大豆や麦などの素材が、つぶされずそのまま残っているのも特徴で、米や麦のあまみ、大豆のうまみなど、素材ひとつひとつの良さが活かされているように感じます。それらが互いにうまく調和し合うことで、ほかにはない味わいや美味しさが作り出されているのかもしれませんね。
こじょうゆ味噌は、作り方にも少し変わったところがあります。
こじょうゆ味噌の材料は、大豆、小麦、米、もち米です。そこに麹菌を合わせて蒸して混ぜ、さらに、酒やみりん、水あめなどの調味料を入れて、約2週間ほど毎日混ぜることで完成します。
製法において、もっとも興味深いのは、この最後の工程です。
こじょうゆ味噌はもともと、各家庭で仕込まれてきたものでした。それゆえに、家庭によって入れる調味料や配分が異なり、味わいも家ごとに違うのです。ある家でははちみつを入れていたり、別の家では出汁を入れていたりと、家庭の味というのがあります。地元の方に聞いてみると「自分の家の味があるから、よその家のものは食べられない!」との声も。
家ごとに入れるものや配分が違って、味わいも違う、なんとも興味深い調味料です。
あらゆる料理に使える万能調味料
こじょうゆ味噌の最大のおすすめポイントは、さまざまな料理に使える万能調味料であることです。
焼いたご飯に塗って食べるなど、ご飯のお供として食べたり、炒め物の味付けに使ったりするのが定番のようですが、ほかにも幅広く料理に使うことができます。
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島では定番の「焼きめし」。焼いたご飯にこじょうゆ味噌を塗ったもの。
お肉や魚につけて焼くと柔らかくなって美味しいですし、麻婆豆腐やチャーハンなど、実は中華料理にもよく合います。ピザなどチーズとの相性も抜群です。ほかにも、牛スジ煮込みや豚汁、おでんなど、煮込み料理の隠し味にもおすすめです。
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こじょうゆ味噌をつけて焼いたお肉。柔らかくなって美味しい。
ほかにもまだまだ、合う料理があるかもしれません。
皆さんもぜひ新たなこじょうゆ味噌レシピを開拓してみてください!
海士町に来たら、お土産にこじょうゆ味噌を
こじょうゆ味噌は、海士町内のお土産店などで購入することができます。
みなさんもぜひ、海士町の伝統の味、こじょうゆ味噌を味わってみませんか?