海の恵み
隠岐といえば新鮮な魚介類でしょう。日本海には暖流が流れていますが、深海は水温が下がります。その結果、暖水魚と寒水魚が同じ生息地で見られ、これにより隠岐諸島は日本有数の漁業となっています。ここでは隠岐でとれる海鮮の代表的なものを紹介します。
岩ガキ(3月~6月)
隠岐諸島は岩ガキの養殖もさかんです。隠岐の岩ガキは柔らかく、ジューシーな触感と栄養たっぷりの海のうまみを持ち合わせています。最も美味しい状態で収穫されるまで、少なくとも3年かけて丁寧に育てられます。1992年に西ノ島町で、日本で初めて岩ガキの養殖に成功しました。それ以来隠岐の岩ガキブランドは日本でもとくに品質が高いことで知られています。生の岩ガキをそのまま、あるいわ醤油を少したらすかレモンを絞って食べるのがおすすめですが、中火で焼いて食べても濃厚でおいしいです。
イカ(通年)
イカ漁は隠岐の主要産業の一つで、ここでは数種類のイカが獲れます。最も人気のある種類の一つが剣先イカで白イカとも呼ばれており、夏から秋が旬です。スルメイカは冬に脂が最も乗って美味しいイカで、寒シマメ丼という新鮮なスルメイカ(シマメ)を肝醤油に漬け込んでつくる海士町のご当地丼が人気です。
サザエ(春~夏)
サザエは今でも伝統的な漁法で収穫されており、一部の漁師は箱眼鏡(底にガラスをはめ込んだ木箱)を使って船上から海底を覗き、銛(もり)でサザエを捕獲します。サザエは地元の郷土料理の定番食材となっていて、肉が用意に手に入らなかった時代には、重要なたんぱく源として重宝されていました。サザエごはんは、スライスしたサザエを野菜やコメと一緒に炊いた炊き込みごはんです。ほかにもサザエ丼は親子丼のようにサザエと卵とじにしたり、サザエをそのまま丼にのせたりとお店によって独自のアレンジがあります。サザエカレーはお土産用のレトルトカレーの販売もあります。
ほかにもサザエをイメージしたお菓子としてサザエ最中という和菓子がお土産としてあります。
また、7月下旬から8月上旬に知夫村で開催される「さざえのつかみ取り大会」というお祭りでは、サザエを獲ったあと、参加者はその場で焼いて食べることも、持ち帰ることもできます。
アワビ(年中)
日本海の栄養豊富な海藻の間で育った隠岐のアワビは、その大きさと上質な味わいで特に一級品とされてきました。事実、927年に編纂された、法令や慣習を集めた公式文書「延喜式」には、重要な行事の際に隠岐のアワビが宮廷に献上されていたことが記されています。「延喜式」でこのような食材の産地が具体的に記されることは珍しく、このことは隠岐諸島の海産物が高く評価されていたことを示しています。島々を訪れた際には、かつて天皇も愛したアワビをぜひ召し上がってください。
松葉ガニ(冬)
松葉ガニは11月から3月にかけて、伝統的なカゴ漁で捕獲される種類のズワイガニです。この甘みのある身の詰まったカニは、隠岐諸島周辺の栄養豊富な海域でよく育ちます。乱獲を防ぎ、カニが十分な大きさにまで成長するよう、厳格な制限が設けられています。
海藻類(岩のりとアラメ)
隠岐諸島では様々な種類の海藻が獲れます。栄養が豊富に含まれているこの海の恵みは、ベジタリアンの方も楽しむことができます。冬は、水際の岩に生える岩のりを収穫する季節です。丁寧に摘み取られた後、竹でできた簾(すだれ)の上で自然乾燥されます。
岩のりとは岩場に自生している天然ののりの総称です。隠岐の岩のりは厚みがありとても薫りがよいのが特徴です。ばくだんおにぎりは岩のりを使った郷土料理で、軽く焼いた岩のりに醤油をぬり、おにぎりをつつみます。小さな爆弾のような見た目からこの名前がつきました。シンプルながら風味豊かで満足感があります。
隠岐でほかにもよく見かける海藻はあらめです。春に収穫され、島の多くの家庭で重宝されています。あらめの煮物はひじきの煮物のようにあらめを油揚げやシイタケ、こんにゃく、人参などと一緒に甘辛く煮込んだ料理で、定番の家庭料理です。
藻塩
あらめは地元でつくられる藻塩の製造にも使われ、塩に深いキャラメル色と豊かなうまみを与えています。海水を煮詰めて塩分を抽出し、あらめと混ぜてさらに煮詰め、塩が結晶化するまで続けます。煮詰める過程で、均一な大きさの細かい結晶ができるように混ぜ合わせながら作業を進めます。その後、塩は乾かされ、古いにかけられて細かい粒状の塩となります。ミネラルたっぷりの藻塩はお土産としても人気です。
隠岐の藻塩はお米の生産でも利用されます。煮出したあらめの塩水を夏に稲に散布します。できあがった藻塩米は、ミネラルが豊富で独特の風味と触感をもつお米として地元の人だけでなく、日本の他の地域でも注目を集めています。
えり焼き鍋
海の幸を使った隠岐の料理として、えり焼き鍋と呼ばれる鍋料理があります。この素朴で腹持ちの良い料理は、魚を風味豊かな出汁で煮込んで作ります。この料理は、長い一日の漁を終えた後に船上で調理して食べていた西ノ島の漁師たちの間で生まれました。
大地の恵み
隠岐牛・隠岐黒磯牛
隠岐の特産品は海産物だけではありません。島で育った黒毛和牛である、高級ブランド牛肉、隠岐牛・隠岐黒磯牛も有名です。隠岐の丘陵地を自由に歩き回り、ミネラル豊富な草を食べて健康に力強く育った牛は、肉全体に脂肪が細かく入り込んだ霜降りが特徴で、それが柔らかさの要因となっていmす。隠岐牛・隠岐黒磯牛は驚くほど軽い味わいで知られています。焼肉や牛丼弁当で食べるのがおすすめです。
隠岐そば
隠岐そばの特徴はすべてそば粉でつくられた、十割そばであることです。小麦粉の入ったそばと違い、風味が強く、ぶつぶつとちぎれやすいのが特徴です。そばにはトビウオや鯖の出汁を使い、わかめやゴマ、刻み葱、ゆずなどをのせて食します。伝統的に隠岐そばは結婚式や新年のお祝いなどの特別な機会に提供されてきましたが、隠岐の島町などでは1年を通して一部のレストランで食べることが可能です。
隠岐の日本酒
島根県は神話との深いつながりもあり、一部の説では日本酒の発祥の地とされています。伝説によると、日本酒の起源は日本の島々を想像した神、いざなぎとイザナミにまで遡ります。隠岐では、離島でありながら日本酒に不可欠な良質な湧水とおいしいお米がとれることから、美味しい日本酒もあります。かつては島後に5つの酒蔵がありましたが、これらの酒蔵が1つになり、1972年に隠岐酒造を設立することになりました。島内の飲食店で提供され、商店でも販売されています。隠岐酒造の代表的な銘柄は「隠岐誉(おきほまれ)」です。
より隠岐の日本酒に興味を持った場合は、隠岐酒造の見学体験もおすすめです。
豪華な宿のお食事をいただくのも、地元の小さなお店で楽しんだり、おしゃれなカフェでゆったり休憩したり、隠岐でさまざまな食の体験を堪能してください。
隠岐のおすすめスポットや体験を紹介するデジタルパンフレットはこちら。